ー 君の落とし物は空へ続いてる ー
私達カップルも、今日はデートの予定だった。


 時計台の下で、降り積もる雪を眺めて待っていた。



今日は冷えるな。

  「椎名、遅くなってごめん。


行こう」



君の手の温もりがあるから、私は何度だって立ち上がられる。



「きゃっ」


不意に、感じた目眩。



雪に足を奪われ、転びそうになる私を優しく支えたのは透。



「大丈夫か?どうした?」 


透が、心配する。


せっかくのイブなのに、と心の中で悪態をつき


大丈夫、と笑った。



不意に、目を向ければ金色の光が横切った気がした。



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