ブレイン・ハイジャック【ゾンビホラー】
「あの虫ってさ。どのサイズまで寄生対象になってるんだろう」

「トイプードルは寄生されてたな」

「それより小さいってなんだろ」

「イエネコ?」

 小首をかしげる早苗が可愛いなと思った矢先に牛の闘争が視界に入って素に戻る。

「誰かゾンビ猫は見た?」

 それには一人も返さなかった。

「小型犬までっぽいな」

 モリスが唸り、林の中から出てきた猫に一同の目が注がれる。

 そして、

「猫までだな」

 おぼつかない足取りの猫を見やり、俺たちはさっさと牧場から離れることにした。

 遠ざかる牛に視線を向けると、そいつは見事にゾンビ牛に勝利し雄叫びを上げているのが見えて希望はあるんだと胸が熱くなるのを覚えたものだ。


 ──そんなことを思い出しつつ、俺は早苗にシーツをかけてやった。






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