【短編】あなたとの距離、近くて遠い

そう言い、久保田さんが持ってきた血圧計を私の右手で測り始めた。

 ピッ ピッ ピッ

「はい。じゃあ、これで終わりね」

 久保田さんは言ってから、後片づけをし始めた。どうしよう、行っちゃう。何かなにか話したい。

「…あ、あの」

 私が声を掛けた瞬間、久保田さんは、はい? と私の方に向き直した。

 私は茫然と久保田さんの顔を見た。

 カッコいい、カッコいい。カッコよすぎだろう。心の中で叫びながら、私はポツリと呟いた。
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