あなたが来た日から
あなたにはまだ
『今は辛いけど、言う通りにしてればいいの』

-ーー母さんが教えてくれた話。あれは多分僕が生まれて間もない頃のことだったらしい。東西南北の四つの国が四つになってしまったあの日。そもそも東西南北になんか国は分かれてはいなかったそうだ。一つの国で皆がお互い助けあって一生懸命に楽しく暮らしていたのだと言っていた。だけど、どんなことにも終わりがあると同じように昔の楽しい日々も終わりを迎えたのだと言う。王という位が、身分が、差別という言葉ができてしまったのだ。ここまでが母さんに聞いた話。
何故できてしまったのか。それは僕にもわからない。いや、少し大きくなってなんとなく分かるからこそ分かりたくない。
僕が生まれたのは西の国、アリアス国だ。自然は豊かだが人間はいない。この国にはとても大切にされている宝があると言われている。他の国には立ち入ったことがないからよくわからないけど、北、南、東それぞれの国に宝が一つずつあると噂で聞いたことがある。確かもう一つの噂も。その宝は現在の王が一つ持っているのだとか。それが原因で四つの国に分かれてしまったのだとか。
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