それでもあなたが大好きです。



「佐々本さん、部屋の中までお連れいたします。
そのあと私たちは玄関で待機しておりますから、介助など必要になりましたら声をおかけください」


「でも…寒いですし、皆さんも中に入りませんか?」



本当は寒いからというのは口実で、園田たちと一緒にいたかったからだった。



それを瞬時に察した園田は、

「ではお言葉に甘えて二手に別れることにいたしましょう。
1時間ごとに中と外で交代するということでも構いませんか?」

「もちろんです…ありがとうございます」


久しぶりの自宅は、まだ微かに蓮の匂いがして、まだ幸せだったあの頃を思い出す。

よく蓮と2人で座ったソファーに下ろしてもらうと、隣に蓮が座っているような気がして安心できた。


「あの…そこにあるあるウサギのぬいぐるみをとってもらってもいいですか?」

「もちろんですよ、どうぞ」


「…ありがとう、ございます」



蓮さんがくれたうさぎちゃん。
私のために可愛いお店に入って選んでくれたのかな…
目を閉じて蓮の姿を想像したら、小春はなおさら蓮に会いたくなってしまった。


蓮さん、今頃何してるの…?
死んじゃったりしてないよね?



「蓮さん…っ」

うさぎに顔を埋め声を押し殺して泣く小春の姿を見た園田は、なんとかして2人を会わせてあげることはできないのだろうかと考えていた。



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