7年目の本気
時期外れのお花見

  結局、あれよあれよという間に外へ連れ出されて、
  あつし他ほとんどの男子が羨望の眼差しで見ていた
  レクサスLFAの助手席へ押し込まれ ――、
  
  
「さぁ、シートベルト締めて~♬」


  和巴は、股間を蹴り上げてまで逃げた男の運転する
  車で何処へか? 連れて行かれる。

  
  そして和巴は乗ってから気が付いた。
  
  この車……うちの会社のおんぼろ社用車よか、
  よっぽど乗り心地ええかも……。
  
  車はとても滑らかに走り出したが。

  イザって時すぐに逃げられるよう、  
  和巴の手はシートベルトを外すスイッチと
  ドアノブにずっと掛けられたままだ。
  
  傍目にも緊張しているのがはっきり分かる。
  
  
「参ったなぁ。オレってそんな信用ない?」

「(はっきり即答)はい」


  沈黙…………
  
  こんなおっさんと共通する話題などないと思うが、
  こんな沈黙には耐えられない……。
  
  何か喋らないと……。
  
  
「おっさんって、一応リーマンでしょ? 平日の
 真っ昼間からふらふら遊び呆けててええん?」
 
 
  和巴は宇佐見に問うた。
  
  
「……おっさん?」


  少しの間があいて、和巴をチラ見した。
  
  この反応……、
  
  
「おっさん ―― や、なかった?」

「……釣り書にも載せてたと思うが ―― 一応
 今年37だ」
 
 
  因みに、うちの実姉も義理の兄も
  共に37才。
  やっぱ ”おばさん・おじさん” 呼ばわり
  されると、めっちゃ怒る。
  
  まぁ、まだ20代前半の私にとって36・7の
  年上は”おじさん・おばさん” 以外の何者でも
  ないんだけどね。
  
  
「あ ―― すんません」

「……祠堂にもキミみたいな学生がいるなんて、
 意外だった」
 
「それどうゆう意味ー?」

「ふふふ……ご想像にお任せします」

「はぁっ??」 何気にムカつく!

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