7年目の本気
再生の朝
外で小鳥がさえずる声を聞き、 
 薄っすら目が覚めて、寝返りを打とうとして
 動けない事に気付く。

 ついでに、ココが自分の部屋でない事にも
 気づく。  


 自分の頭が何かゴツゴツとしたものを
 枕にしているのを理解すると同時に、
 背中を包み込むような人肌のぬくもりを感じ、
 ようやく昨夜の事を思い出した。

 どうやら背後から抱き込まれているらしい。

 ウエストに回った方の腕一本でしっかりと拘束
 されているために、身動きができない。

 顔だけを後ろに向けると、
 まだ瞼を閉じたままの匡煌さんがいた。

 抱き込まれていた相手が匡煌さんだった事に
 何となく安堵して、ふわっとひとつ欠伸をすると
 くぐもった声が聞こえてきた。
  
  
「ん~……まだ、寝てろよ~、今日は休みだろ……」


 あぁ……節操が無いというか ――、
 自制心に欠ける、というか……また、同じ事を
 やってしまったようだ。
  
 下半身に感じる独特な違和感が、
 昨夜の情事の激しさをはっきり思い出させて
 くれる。
  

「……動け、そうか?」
  
「あなたが放してくれたらね」


 私の返答にかすかに苦笑する気配。


「いや。立って動けるかどうかを訊いたんだが……」

「…………」


 ようやく解けた拘束に、そっと身体を起こして
 みる。
 腹筋に力を入れた途端、電気ショックのような
 痛みが尾てい骨のあたりから背筋へと走る。

                       
「くっ……。……だめ、みたい」
                      

 ポスリと再び匡煌さんの腕の中に戻り、
 呆然とつぶやく。

 行為自体は激しかったが、相当丁寧に抱かれた
 という意識があっただけにショックも大きい。

 抱かれるたびにこれでは仕事もままならない。

 だからと言って休みの前だけ、などという
 わがままが通る相手だとも思えない。


「うぅ……これじゃ、帰れへん……」

「だからゆっくりして行けって。すぐに慣れる」


 そう言うと軽々と抱き上げられた。


「なに??」

「シャワーだ。気持ち悪いだろ? 洗ってやる」

「い、いいよ。1人でだいじょぶ」

「大人しく言う事をきけ。オレはこれからひと仕事だ。
 風呂場でおっ始めたりはしない」
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