ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
 クワンがロイを連れて無音室から出てきた。

じっくり広海君と話を交わせて満足してるみたいだ。

「せっかくの学園祭だから、外の出店も見て回りたいわ。案内してもらえると助かるんだけど、どうかしら?」

僕を見るクワン。

肩越しに広海君の姿が見える。

ん~、さっき眉をピクつかせてたんだよな。

「いや、僕はここに残るよ。一応責任者だから」

残っておかないといけないしな。

「だから広海君、代わりに行って来ないか。行きたがってたろ」

ここでいたわっておかないと後が怖いし。

「…ううん、いいわ」

え?!

「よそ者の私より、先生が一緒に行った方が話も弾むでしょ。先生がミライさんも連れて一緒に行ってきた方がいいんじゃない?ここには私が残っていてあげるから」

意外だ、広海君。

君がそんな風に首を振るなんて。

「いいのか?」

いつになく物わかりがいいのが何気に怖いんだけど。

「その方がお互い気を使わなくていいでしょ。だから先生、一緒に見て回って楽しんで来てよ、ね」

広海君が笑みを押し出してきてる。

珍しい事もあるもんだ。

「…じゃあ、そこまで言うなら」

せっかくの広海君の心遣いだしな。

無駄にしてはもったいないよ。
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