ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)

静かな実験室

 翌日。

広海君の居ない静かな実験室。

(こんな事になるなんてな…)

学園祭のあの日、ロイが運転して事故に遭ったばっかりに。

クワンが意識不明になって、ロイの正体がバレて、

(挙句に、まさか広海君が)

ここから居なくなるなんてな。

(自分で蒔いた種とはいえ、)

騙してたことがバレた衝撃は大きい。

(完全に嫌われちゃったかな…)

並んだ机の空っぽの椅子がなんとも虚しいよ。

と、急に後からミライが、広海君がするように首に腕を廻して抱き付いてきた。

「広海さんがいないと、寂しい?」

僕の目を覗き込むように首を傾げて可愛らしく微笑み掛けてくれてる。

元気を出してと言わんばかりに。

「大丈夫だよ」

ありがとうミライ。

気遣ってくれたんだね。

微笑むと、ニッコリと笑って返してくれた。

「あ、誰か来たみたい」

ミライがパッと離れて入り口を振り向いた。

やがてヒールの足音とノックの音の後、扉がガチャッと開いた。

「こんにちは」

誰だろう?
< 226 / 321 >

この作品をシェア

pagetop