ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)

明けて実験室

 次の日の朝、始業のチャイムが鳴って5分ほど過ぎた頃。

広海君が焦る事も無く実験室にやって来た。

「おはようございま~す」

って、第一声が違うだろ。

「ずーいぶん、ゆっくりしてるじゃないか」

皮肉まじりに話しかけると、澄ました声が返ってきた。

「昨日みんなで2時過ぎまで歌ってたんだし、少しぐらい大目に見てくれたっていいじゃない。先生だって楽しかったでしょ?」

そりゃまあそうだけど。

「ねぇ、先生は眠たくないの?」

「もちろん。ちゃんと帰ってすぐ寝たからね」

どうせ君の事だから、帰ってから飲み足したんだろ広海君。

と、広海君が溜息を漏らしてきた。

「ふ~ん、昨日あれから何にもなかったんだ」

「ん?どういう意味だよ」

何をニヤけてるんだよ。

「あんなセリフ言われたんだも~ん、きっと夜だって盛り上がったんじゃないの~って思って」

オイオイッ!

(盛り上れるワケないだろ!)

ミライはロボットなんだゾ、って言えたらどんなにラクな事か…。

「ホントに何もなかったの?ねぇセンセェー、あんまりドンカンなのもちょっと考え物じゃない?私思うんだけど」

腕を組んで叱るような口調で立っている広海君。

堂々とした態度はどうしたもんだろうね。

(なんだかなぁ…)

言い返す気力も起きてこないよ、広海君。
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