＊ KING＋1 ＊
「お前は、またぼーとして…こんな調子で日本で大丈夫なのか？」


「もう。先輩私が居ないからって　寂しいとか言わないで下さいよ。」



「バカか？杏がいなくても　何の支障もない。毎日が静かで　やっとパリを満喫出来そうだ…」



嘘でも　私を必要としてよ…先輩のバカ。



「それじゃあ、私は日本にずっと居てもいいですか?副社長にお願いしたら、それ可能になりそうですけど？」



「研修で１ヶ月だけだろ？しっかり勉強してこいよ。俺の下僕なんだから、さっさと帰ってこい。今日は特別に俺が添い寝してやろうか？あ？」



どういうつもりなんだろ？添い寝とか…それしてもらったら、明日から私が泣いちゃいそうだからだめだよ。



「嫌です。最後にセクハラにパワハラとか、先輩って、やっぱり鬼ですね。明日は出発も早いし、私はもう寝ますね。おやすみなさい。」


「ああ…」



明日から先輩がいない生活が始まる…そして訳のわからない研修が待ち受けている。不安で胸が押し潰されそうになる私は、無理矢理に目を瞑り　リアルの世界から逃れるように　夢の中に入った。


< 55 / 96 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop