アンニュイな彼
「真っ赤。」



無情にも体を離すと同時に、先生は片方の手で私の背中を支えたままで、私の鼻先を指で突いた。


「……っっ」


変、ですか?

でも、今は変でもいい。
それくらい、なにがなんだか分からないくらい、幸せだから。

もう少し、甘いハグの余韻に浸ってたかったけれど。


「寒ぃ。」


と呟いた先生は、「そろそろ風邪引く。」平坦な口調で言って、助手席のドアを開けた。

促されるがまま、私は助手席に乗り込む。
運転席側に回った先生も車に乗り込み、発進させ、それからsugar gardenのそばに私を送り届けるまで一言も話さなかった。

さっきは抱きしめてくれたのに、もう容赦なく冷たい。
でも、そんな先生のアメとムチがくせになりそうな私。

離れたばかりなのに。
もう一度抱きしめて欲しいです、先生。
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