りせい君の理性が危うい瞬間





利生君は顔色一つ変えずに、そう言って先に食事部屋から出ていってしまった。



フッ、と。体の力が急に抜け始める。


その場で尻もちをつき、手のひらを広げると。
ポタポタと涙が落ちてきた。



「あ……れ、おかしいな。」



なんで泣いてるんだろう。



利生君とキスしたから……?


いや、違う。


利生君が居なくなったことに、安心してるんだ……わたし。



でも、なんでだろう。


全然キスが嫌じゃなかったのは。



前よりも……全然。


そんなことより、自分から利生君にキスしたことを
後悔よりも、やり返しが出来たことに心底喜んでる自分がいる。



……変なの。


こんなこと、本当は恋人同士でしか
しちゃイケナイことなのにね。








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