Happy?~結婚生活は甘くて危険がいっぱいです~
トボトボと歩きながら向かった先は、中学時代からの友人が経営している小さな飲み屋だった。

「それは、災難だったね…」

ここの店長である潮田敬子(シオタケイコ)は何とも言えないと言う顔をしていた。

開店前にも関わらず迎えてくれた敬子に感謝をしながら、
「もうどうすればいいんだろう、わたし…」

わたしは両手で頭を抱えた。

「職も失ったうえに家も失うなんて、まさに絵に描いたような転落人生ね」

敬子は息を吐くと、栗色に染めたボブの髪をかきあげた。

「本当だよ…」

そう呟いたら、泣きたくなった。

こんな時は家族に頼るのがベストなんだろうけれども、母親は高校生の時に、父親は2年前に亡くなったうえに兄弟姉妹もいないと言う状況だ。

つまり、天涯孤独と言うヤツである。
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