【短】届かない声は距離のせい
開く距離


 *


 寒くてどうしようもない朝。
 肩にかかる髪も冷たくて、わたしはぎゅっとマフラーをしめ直す。



「寒い」



 関東では春が来ただの、桜が満開だのと、明るいニュースが続いているみたい。だけど、わたしが住んでいる東北地方にはまだ春が見えてこない。


 久しぶりに晴れたとはいえ、春休みを終えて初日の学校は朝から苦痛の連続。
 仮病でも使って休みたくなるのを我慢して、歩いている学生の波にわたしも加わった。


 一週間ほど前に降った雪が交差点の角に集められている。その雪が最後になればいいなと思いながら、高校へと足を進める足は重い。憂鬱だ。

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