それでもやっぱり、君が好き【8/26番外編追加】
この1ヶ月間、雄大がいそうな場所には近づかないようにしていた。
こうして他の子といるんだろうなと思ってたから。

雄大をこの目で見てしまった、あたしはすぐに動けなくなってしまう。



「何、ボーッとしてんの?音楽の授業はじまってんだろ」



久しぶりに雄大があたしを見てる。
それだけのことで嬉しくなる。
単純でいやになるけど、それほど雄大のことが好き。

それなのに、君には届かない。



「あ……っ、うん!よく音楽ってわかったね」



雄大の言葉に、言葉を詰まらせながらも答える。



「それ、音楽以外ないだろ」



あたしが持っている楽器を指す。



「……そうだね」


「期待でもした?授業調べてくれてんのかなって」



笑ってる。
でも、その笑顔は冷たい。
あたしが知ってる笑顔なんかじゃない。



「……そんなこと」


「なくはないよな?」



フッと鼻で笑う。



「……っ」



たしかになくはなかった。前はいつも知っててくれたし。
図星すぎてなにも答えられなくなってしまう。


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