虹虫
雨の日
<1>

ナツミ・・・・・・。



俺達っていつもこうして一緒に外を眺めていたよな。


ケンジは雨で濡れる窓ガラスを見上げる。



洪水のように垂れる雨の粒は、窓ガラスにモザイクをかける。



まるで涙のように。



ひんやりとした冷たい空気が白い部屋を満たす。



病室に佇むケンジは、顔を下ろしベッドの中で安らかに眠るナツミを見下ろした。



「ナツミ・・・・・・」
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