天国への橋
写真の中の男。




この二十代の男は、若い頃の親父。


抱かれている男の子は、五歳の頃の俺だった。








これは確か……三人でドライブに行った時のものだ。



俺と母さんと、親父と。





離れるなんて思ってもいなかった時の、家族三人で暮らしていた幸せだった時の……。







確か………そう………俺は初めて虹を見たんだ。



広い広い、原っぱがあって………。








俺の瞳の奥に、情景が浮かび上がる。





初々しい緑、惜しみなく注がれる太陽の温もり。


湿った空気と土の匂い……。








いつの間にか俺は、写真の記憶の中を泳いでいた………。














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