たまゆらなる僕らの想いを


本当なら、早く体に帰って欲しいところだけど、ここで会えたのを無駄にはしたくなくて。

何より、もう少し一緒にいたいと思ってしまった私は、彼に質問する。


「ナギに聞きたいことがあるの」

「聞きたいこと?」


私はひとつ頷くと、コートの中から勾玉を引っ張り出した。


「この翡翠の勾玉をつけたナギが、私の夢に出てきたんだけど、その日にナギが事故にあったみたいで」


あの日、夢の中で私を呼んでいたナギ。

風景はこの御霊還りの社と酷似していて、思い出しながら話す今でも不思議な気持ちだ。

ナギは頷くでもなく、静かに私を見つめて話に耳を傾けている。


「ナギも、夢で私と会ったりしてた?」


同時に同じ夢を見ていたということはないだろうか。

普通ならそんなことはあり得ないけど、今のナギの状態を考えたらあり得るのかなとも思えて。

だけど、ナギは軽く肩をすくめる。


「さあ、どうかな。でも、勾玉は対になってるから、片割れを持つお前に知らせたのかも」


何を、と尋ねるように首を傾けると、ナギは柔らかく目を細めて。


「会いたがってるぞーって」


冗談めかすように小さく笑った。

けれど、それもつかの間。

ナギは私にゆっくりと手を伸ばし、瞳に寂しさを滲ませる。

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