たまゆらなる僕らの想いを


話も途切れて、私達の間には沈黙が流れて。

なにか話しかけなければと思うけど、普段から話すことに慣れていないせいか話題が見つからない。

そんな中、ナギが両手で顔を覆った。


「ああ、なんか今日はやけに眠いな」

「大丈夫?」

「んー。ま、家に帰って寝ればスッキリするだろ」


家。

そのワードに、今度こそと私は唇を開く。


「あの、ナギ。連絡先を教えてもらえるかな?」


もし迷惑じゃなければ、というのを言い忘れてしまい、付け足そうかとしたけれど。


「ああいいよ」


ナギはあっさりとチェスターコートのポケットに手を入れた。

けれど。


「あれ……スマホがない。忘れたのかも」


どうやら家に忘れたようで、彼はもう一度各ポケットに手を突っ込み確認する。


「番号は覚えてる?」

「あ、覚えてる。じゃあ、ワンギリしといてくれる?」

「わかった」


頷いてから、私は鞄に入っているスマホを取り出した。

そして、彼が口にする番号を順にタップし、発信ボタンに触れた……のだけど。


「ナギ、 電波がないか電源が切れてるって」

「え、マジか」


繋がらず、結局、充電しておくから夜にまたとお願いされて。


「メリークリスマス、凛」

「ナギも。メリークリスマス」


今日もまた、もう少しのんびりしてるから先に帰ってと言うナギに別れを告げ、私は少しだけ後ろ髪をひかれながら御霊還りの社を後にしたのだった。










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