彼氏売買所
自分の評判が下がる事だけは避けなければいけない。


あたしは学校内でも可愛いと人気で、性格もいいと評判なのだから。


だから告白をされてもひどい断り方はしない。


やんわりと、笑顔で、相手に期待を持たせて断るのだ。


もちろん、その後その相手と付き合う事なんて絶対にないけれど。


「おっと、話しすぎちゃったね。じゃあバイバイ」


啓太郎はそう言い満足そうな笑顔を向けると、脂肪を揺らしながら歩き始めた。


その後ろ姿を見送り、あたしは大きく息を吸い込んだ。


啓太郎の脂っぽい臭いがまだそこに止まっているように感じらせて、あたしはせき込んだのだった。
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