惚れ薬
☆☆☆

教室へ向かう途中、初美に声をかけられた。


「昨日は中途半端なことしちゃってごめんね」


「大丈夫だよ。デートは楽しかった?」


そう聞くと初美は照れて赤くなってしまった。


「まぁまぁかな」


そう答えながらも頬は緩んでいる。


かなり楽しかったようだ。


「初美って元々田中君のことが好きだったの?」


昨日の疑問をぶつけてみると、初美は「全然」と、左右に首をふって答えた。


「だけど、最近は好き」


そう言ってヘラリと笑う。


やっぱりそうなんだ。


あれだけ優しくされたら、誰だって相手のことを好きになるだろう。
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