ジンクス
「なになに? 朝からラブラブなの?」


遅れて教室に入って来た杏がそう聞いて来た。


あたしは照れ笑いを浮かべて頷いてみせた。


「ノロケちゃって!」


花梨がそう言ってあたしの背中をつついた。


「長年の片想いだもんねぇ」


しみじみとした口調でそう言う杏。


その言葉が聞こえていたのか、健が驚いたように目を丸くしてあたしを見て来た。


「ちょっと杏、やめてよ」


「いいじゃん。気持ちは通じたんだから」
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