ジンクス
残す
とにかく健は優しかった。


人前だろうがそうじゃなかろうが変わらない。


あたしはその優しさに触れるたびに、心の中がポッと暖かくなる気がしていた。


「今日のお弁当も楽しみだな」


昼休み、2人で中庭へと移動しながら健がそう言って来た。


「今日のも頑張って作ったよ」


いつもよりは断然楽だったけれど、やっと本来のお弁当に戻す事ができたんだ。


「いつもありがとう」


健はそう言い中庭へと続くドアを開けた。


外はとても暖かくて、すでに何組かのカップルたちがお弁当を広げていた。

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