ジンクス
「お弁当のお礼だよ。ただで食べさせてもらうだけなんて、俺も申し訳ないしさ」


『お礼なんていいよ』


と、言おうと思った時、杏と目が合って。


こちらへ向けてなにか訴えかけてきているのがわかる。


チャンスだよ。


そう言われているような気がした。


「じゃ……じゃあ、お昼は一緒に食べよう?」


我ながら恥ずかしいと思いながら、そんな事を言っていた。


「い、嫌ならいいけど!」


慌てて付け加えると、健はあっさり「そんなことでいいのか?」と、聞いて来た。
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