幼なじみとの恋は波乱で。(仮)
Episode 2 【桃果 side】

想い出 〜小学生〜

「あの、月島(つきしま)さん」

「ん?」


確か、2組の子。


「これ、

三浦くんに渡してもらえる?」


そう言いながら渡されたのは、

1つの封筒。


……またか。


「ん。わかった。

けど、自分で渡さなくていいの?」

「……」

「想いを人に任せるんだよ?

大丈夫?」

「………」


その子はしばらく黙り込んだ後、


「大丈夫!渡しといて!

というか、私には

自分で渡す勇気なんてないから…」

「ん、わかった。

んじゃあ、渡しとくね」

「ありがとう!」

「うん」


会話が終わると、その子は

自分のクラスへと帰って行った。


(これ、どうしたらいいんだろ…)


小さい頃から、

ラブレターの橋渡しに、

私はよく利用されている。


小さい頃からだからわかるんだけど、

奏にこれ渡しても、

受け取ってくれないんだよね…。

奏、酷すぎると思う。

この手紙を書くのに、

どれだけその子が想いを込めたか、

勇気を出したか…。


奏は、知らない。


私は、人一倍わかる。

だって、私は……。
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