桔梗の華 ~途中公開~

優しい鬼


夕食を子供達と食べて
床についた子供達に布団を掛ける伊助さんを
手伝って囲炉裏に落ち着く。

「私に…妖気を感じると言いましたね」

お茶を啜りながら囲炉裏の火を見つめる伊助さんに「はい…」と頷く

「時々…私は自分が怖くなるんです。」

伊助さんの額には汗が垂れる
それを私たちは黙って見つめる

「私の中に何かがいるんです…」

「なにか?」

「時折、声が聞こえてその声が聞こえると私の意識はなくなり朝目が覚めるといつの間にか床についてたり。最初は夢の病かと思ったんですが…分からなくなって…」


お茶を持つ伊助さんの手は震えていた

「私の中に鬼がいるんじゃないかと」

「鬼?」

「誰しも心に闇を抱える。人間も妖怪も同じです。その闇を好む邪悪な者も又存在致します。きっと私はそれに喰われたんじゃないかって…」



「でも…あなたからは邪気は感じません!確かに妖気は少し感じますけど。子供達のあなたへの態度見ればわかります!伊助さんは悪い人じゃありません!」

私は思わず口に出していた
それをあちゃ~と凛丸は笑う
神威も呆れた顔して私を見るけど
伊助さんは嬉しそうな顔をして
ありがとうと言ってくれた


きっとこの人は関係ないのかも
誰かが土地神のじいちゃんの力を
ここへ持ち込んだんだ


でも…だれが?


『ほんとにそう…?』

目の前にいる伊助さんからは
嫌な感じはしない…

『気づいてるハズよ…』


頭の中で疑問と思考がグルグルと回る
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