愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


麗香さんの家柄も相当なものなのだろう。確かにあれだけの大病院だ。そこの娘との結婚は大きなことなのだろう。
藤堂先生の家系だって、私みたいな一般家庭の人間は本来なら釣り合わないのかもしれない。
医学会では有名な家柄なら、相手の女性もそれなりの人を望むのが親というものなのだろう。


「……私は先生の側にいて良いのでしょうか?」


乾いた呟きは、静かになった待合室によく通った。


「不安か?」


藤堂先生は責めるわけでもなく、とても穏やかに優しく聞いてきた。
不安? もちろん、不安だ。
あんな風に宣戦布告されたのも初めてだし、藤堂先生の家のことを詳しく聞いたのも初めてだから、色んな感情が襲ってくる。


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