愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
20


藤堂先生のことを信じよう。先生が私を好きだと言ってくれているのなら、疑わずにいよう。
そう決めた。
決めたけど……。


「別れてくれたかしら?」


前回と同じカフェでまた麗香さんと向かい合っている。
今回も会社の側で待ち伏せをされていたのだ。
怖いから嫌だなぁと憂鬱になりながらも、藤堂先生の言葉を思い出し、心を奮い立たせる。


「藤堂先生……真紀さんとは別れません」


私の答えに、麗香さんはコーヒーカップを口元に当てたまま一瞬固まる。


「真紀さんと話しました。結果、別れるという答えにはなりませんでした」
「何言っているの? 言ったわよね、私と真紀の結婚は重要なことなの。医学会にとっても、真紀の将来にとっても」
「真紀さんは心臓外科に戻るつもりはないそうです」


< 204 / 262 >

この作品をシェア

pagetop