愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
「こうでもしなければ、お前は来ないだろう」
後ろからそう言われ、私は弾かれたように振り返った。
そこには50代後半くらいの、背の高いガッチリした体格の男性。眼鏡をかけていたが、その顔はどこか真紀さんに似た整った顔立ちをしており、すぐに真紀さんのお父さんだとわかった。
「あなたが朝比奈里桜さんだね?」
穏やかに微笑まれ、慌てて立ち上がって一礼をする。
「初めまして」
「座ってくれ。急に呼び立ててすまなかったね」
お父さんは私達の前の席に座って飲み物を注文した。
「そう怖い顔をするな、真紀」
「ボストンに居るはずの貴方がなんで日本にいるんだ?」
トゲのある口調に、真紀さんのお父さんは苦笑いした。