愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~
22


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待っていたいって、思ってた……。
思ってたのに……。


「桜が……散る」


窓の外に見える桜はもう葉桜だ。


「主任。朝比奈主任、この書類に印鑑をお願いします」
「あ、ごめん」


デスクの前で声をかけられ、ハッとして書類を受け取る。
印鑑を押しながらついため息が漏れた。


「お疲れですね」
「あぁ、うん。もう春だなぁって思っただけ」


首を傾げる部下に苦笑しながら印鑑を押した書類を返却する。あれから、何度も桜の季節が通りすぎた。

あの話し合いの後、年末に彼はクリニックを閉めた。そして、年明けと共にボストンへ旅立って行ったのだ。
全てがあっという間で、心の整理も中途半端のまま、それでも初めはマメにメールや電話のやり取りをしていた。
でもそれが、お互いの忙しさから一年毎にみるみる減ってきた。それでもなんとか繋ぎ止めていたメールも1年前で終わっている。

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