愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


翌日。


「朝比奈。悪いけど午後からイベント中の店舗に様子見に行ってくれない?」


疲れがとらないままシャワーを浴びて慌てて出社すると、企画部の鈴木主任が朝イチでそう声をかけてきた。
春の新作下着のイベントは明日明後日の土日で最終日だ。
その前に店舗を訪れて様子を伺い、最後の追い込みにかけて今回の企画状況についてどうだったか、改善点はあるのかを確認して来いと言うことだ。
そして、それは今後の大型連休に少なからずとも影響してくるし、そこで人気だった商品を取り揃えて売り出していく。

店舗は4店舗。移動時間も考えて、午後一で出かければ就業時間までには帰社できるだろう。それから、店舗状況の報告書作成が待っている。

今日も残業か……。

つい漏れそうになったため息をそっと押し殺す。
忙しいのは私だけではない。イベント時や繁忙期になるとどの部署もめまぐるしく忙しい。
特にこの企画部は現在人手不足だ。一時はみんなが行きたがった部署だったのだが、今は忙しいから、残業をなるべくしたくないから、などという理由で花形部署であるはずなのに、人気がないという実態があった。
特に私のような独身者は自然と仕事を任されることが多い。私としては有り難いと思うのだが、やはりそこは人それぞれ感じるところがあるようだ。


「朝比奈、大丈夫? 顔色悪いけど」


美人で気遣いできる優しい上司である鈴木主任は、心配そうに顔を覗き込んでくる。


「大丈夫ですよ。主任こそ、お肌の乗りがー」
「そこはお互いさまでしょう」


おどけて笑って見せると主任は苦笑しながらも速攻で反撃してくる。




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