愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


私の精一杯な嫌味も先生には効いていないようだ。逆にキスくらいで騒ぐ方が恥ずかしくなってきた。
こういうタイプにはきっと腹を立てるだけ無駄なのだろうな。なんだか諦めにも近いため息が漏れる。


「そんなことよりさ」


藤堂先生が突然思い出したかのように話題を変えた。

そんなこと!?
思わず食ってかかりそうになったところを、藤堂先生は両手を前にして落ち着くようにとジェスチャーする。


「昼間、患者さんに霜降り肉もらってさ。良かったら、お前も一緒に食べないか?」
「霜降り肉?」


パッと表情が輝くのを先生は見逃さなかった。
あっ、しまったと思うがもう遅い。先生はニヤリと笑顔を見せる。


「その患者さん、会社の社長さんでさ。取引先からたくさん頂いたらしいんだけど、奥さんと二人だと食べきれないんだと」
「こういうの患者さんから貰っていいんですか?」


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