愛されざかり~イジワル御曹司の目覚める独占欲~


隣から視線を感じる。チラッと見ると、藤堂先生がじっと私を見つめていた。


「あ、いえ、その」


どう取り繕うかモゴモゴしていると先生は微笑んだ。


「その台詞、そっくりそのままお返しするぜ」


そう言って藤堂先生は部屋の中へ入っていった。

またそうやってモヤッとする言い方をするんだ。ひとり残された私は軽く唇を噛む。

この歳になると、見込みのない恋愛はしたくない。
だから、藤堂先生の気持ちを知りたいのに……。


「好きだと言ったら、何か変わりますか?」


形が出来ていなかった想いを、形付けても良いでしょうか?
少しずつ藤堂先生への想いが色づいて形になっていく。
認めたら、それはちゃんとしたモノになるだろう。

私の気持ちがわかったら、藤堂先生は応えてくれますか?
それとも、知りたいだけですか?
意識させたのは藤堂先生じゃないんですか?それは意味があるんですか?

やっぱり私はもう、藤堂先生が好きなようです。


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