それでも僕は君を離さないⅢ
慎二は咲良をなだめていた。

「恐らく同じ会社なんだろ。」

「ムカつく。」

「まあまあ、こんな日もあるって。」

上昇するエスカレーターから下にいる樹里と貴彦を見下ろして

咲良は眉間にしわを寄せた。

「にしても、脅威を感じるよな。」

慎二は貴彦の美丈夫な迫力を無視できなかった。

「何がだ?」

咲良は腹を立てているせいで慎二の言葉にピンとこなかった。

「あのモデル級の長身だよ。」

「あいつ、今度割り込んだらただじゃ置かない。」

慎二は咲良の無茶ぶりな言い方にぷっと笑った。


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