それでも僕は君を離さないⅢ
「多田さん。」

「はい。」

「お仕事はお忙しいですか?」

「普通に忙しいと思う。営業だから外出も多いしね。」

「そうですか。私は内勤ですので昼休みも何か買ってデスクで食べてます。」

「その方が大変だと思うよ。」

「どうしてですか?」

「仕事の合間に息抜きゼロじゃ、俺は無理だな。」

「そういう見方もあるんですね。」

「うん。」

「あの、私からのメールはきっとつまらないと思います。」

「そんなことないよ。」

「いいえ、絶対つまらないです。自分で読み返したら本当につまらなかったのですから。」

「読み返したの?」

「はい。ですので、メールは止めませんか?」

「止めたくない。」

貴彦は即座にキッパリと言った。

「多田さんは私のメールを読んでつまらないと思わないのですか?」

「思わないどころか、元気が出る。」

「それは本当ですか?」

「うん。」

本当もなにもメールを止めるなんて冗談じゃない。

現にこうして食事ができるんだ。

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