それでも僕は君を離さないⅢ

翌朝咲良は二日酔いでガンガンする頭を抱えながら、ベッドからムクリと起き上がり、「あ～クソッ。」と言い捨てシャワーを浴びに浴室に向かった。

熱い湯でザッと洗った後に水で流した。

腰にバスタオルを巻いて冷蔵庫のドアを開けた。

中は食材で満杯だ。

体内に残留したアルコールを排出すべく、冷えたトマトジュースのビンを手に取った。

それを飲みながら卓上のＬＥＤ菜園に目を向け、ライトグリーンに輝くフリルレタスが愛らしいほどみずみずしく育っている姿を見て、くさくさした気分が一気に去った。

「なんでそんなに素直に育つんだ？」

二人が食事している様を見たからといって、恋人同士だとは限らないじゃないか!?

そうだろ？

グリーンレタスの並びにちょこんと顔を出したルビー色のラディッシュにそう言って、深酒の後のトマトジュースのフレッシュな味に、はかない恋のもの悲しさとあきらめとが交ざり合ったような気持ちが癒されるような気がした。