それでも僕は君を離さないⅢ
翌朝コンビニの前で樹里が声をかけてきた。

「おはようございます。」

「おはよう。」

彼女は慎二にも軽く会釈して通り過ぎた。

慎二は咲良の顔をまじまじと見た。

「咲良、ボトルを渡したのか?」

「昨日帰りにね。」

「ひゅう~。上手くいってるじゃん。」

「まあね。」

咲良は慎二には言わないでおいた。

彼女に対する自分の気持ちが恋人としてではなく、妹のような存在であることを。

好きという想いに勘違いをしていた自分を。

心底どんくさい男だと沈んでいることを。

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