婚約者はご主人様 1
いきなり言われても
私の名前は真城莉亜。

古くからの名家、真城家の令嬢。


そして、真城家より前から栄える東城家のお坊ちゃん専属メイドでもある。

毎日楽しく坊ちゃんのお世話をさせて頂いていた。


しかし昨日、突然お父様に応接室に呼び出された。

びっくりしたのはそこに坊ちゃんと旦那様がいらしたこと。

3人とも真剣な顔だった。

すると、お父様が

「莉亜、お前に大事な話があるんだ。」

とおっしゃった。

「何でしょうか。」

私ドキドキしながら答えた。

「突然だが実は結月くんだが、お前の婚約者なんだ。」

「えっ!?」

とても驚いて、目が点になってしまった。

坊ちゃんは頬を赤らめてうつむいている。

「でも私、結月様に仕える身ですよ?結婚だなんて…」

「結婚ははお前が生まれた時から決まっていた。お前を結月に仕えさせていたのは親睦を深めるため、花嫁修業も兼ねている。」

そんな事言われても、結婚は愛する人とするって決めていたのに。

私が浮かない顔をしていると、旦那様が

「頼む、莉亜ちゃん!結月と結婚してくれ!」

と私に頭を下げた。

これは断れる雰囲気ではない。

「はい…分かりました。」

私は小さな声でそう答えた。

すると2人はパァと目を輝かせ、

「ありがとう。本当にありがとう。」

と何度も私におっしゃった。

坊ちゃんは頬を赤く染めたままだった。
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