iNG 現在進行形の恋【濃縮版】
次の日、荻野さんがお見舞いに来てくれた。


「それ……」

私のトランクを持って。

「仁から預かりました」

もう仁の家に帰らなくても良いんだって。
仁も私から解放されたいようだ。

突き放したのは私なのに、トランクだけ返してと言ったのは私なのに、胸が張り裂けそう……。

「その様子だと、もう手遅れそうですね」

私を見ている荻野さんは苦笑い。

「あはは……荻野さんに折角忠告して頂いたのに、バカですよね……」

私は涙を必死に堪える。

気付いたらもう簡単に引き返せないところまで来ていた。
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