一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない

クローバーの花言葉

「萩元さん、お疲れ様です。あれ、それ……」

 ウェディングパーティーも無事にお開きになり、挙式から撮影を担当していた私の仕事は終わった。

 会場の後片付けを担当していた若い女性スタッフに、目ざとく例のシロツメクサの花冠を発見される。


「どうしたんですかぁ。シロツメクサ?」

「あ、あぁ……ちょっと、もらいまして」

「へえー! 誰にです?」

「……可愛い、男の子に」


 嘘はついていない。

 29歳の私から見たら、24歳の彼は、じゅうぶん“可愛い男の子”だ。


 その可愛い男の子に『はずさないで』と言われた薬指の指輪も、律儀に守ってつけたままでいる。

 どうかそこには気づかないで、触れないで、と思っていると、


「えー! なにそれロマンチックですねぇ! かわいー!」


 今時の女の子らしい騒々しさで、明るく笑った。


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