一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない

初恋のまなざし

 今日は撮影前に、廉とある約束をした。

 『撮影がスムーズに終われば、彼女と2人きりの休憩タイム15分』である。

 いつにも増して気合を入れて臨んだ撮影は、異例のハイペースで進み……。

 スムーズどころかあっという間に終わってしまって、塚本さんが大笑いしていた。


 ハウススタジオの中の、小さな中庭で彼女を待つ。

 一目見て、彼女が好きそうな場所だと思った。

 最も、彼女の主戦場は結婚式場だ。

 こういうメルヘンチックな場所は、見慣れているかもしれないけれど。


「宝来寺さんっ」


 そうこうしているうちに彼女がやってきた。

 何やら大事そうにビニール袋を抱えている。


「ちょうどお弁当が届いたんです。ご一緒にいかがですか」


 それで嬉しそうにしていたのか。

 先日のウェディングパーティーでも、嬉し気に料理を取る彼女の姿を見かけた。

 食べるのが好きなのかもしれない。




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