偽りのない自分で。
第1章
またやってしまった。
何度思ったことだろう。
やめようと思っても自分の身体が勝手に動いてしまう。
このスリルとドキドキは、日々積もっていくストレスや不満を解消してくれる。
成功した時の幸福感もまた良いものだ。

私はこの"万引き"という行為を3年間も繰り返している。

親も教師もクラスメイトも、誰だって知らない。


学校では完璧な私を演じている。
顔もそこそこ可愛くて、スタイルも良い。
読モをやってみんなに人気者の私。


でも誰も本当の私なんて知らない。
犯罪に手を染めている私を。


毎日の様にクラスメイトは言ってくる。
『未来、また雑誌載ってるよ。めっちゃ可愛いじゃん。』などと。
本人達の前では『ありがとう、でもみんなの方が可愛いよ。』とか言ってるけど、正直ウザイ。
『お前らみたいなブスには言われたく無い。何が可愛いだよ。』とか思ってる。

私はいつもそんな風に友達付き合いは、適当にやっている。
そのせいで、ストレスが溜まっているのかも知れない。
そんなストレス発散にピッタリなのは、やはり、万引きしかない。


今日盗んだ物はメロンパン1つ、ジュース2本。
きちんと会計すると500円程なのだが、私はそれを0円で済ませる。
お金を使わずに食べ物を得るこの快感。
何にも例えられない程、気持ち良い。

3年間も万引きを続けると、腕も上がってきて、確実に品物をゲット出来る様になっていた。
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