僕の妻は理解不能


運ばれてくる食事はどれも美味しくて
はるちゃんと愛菜の高校時代の話で
盛り上がり、拓翔くんと僕は
2人の話を聞きながら、年の差を大きく感じた。


「あ、拓翔さんとはるちゃんの指輪同じですか?」

愛菜が2人の左手を指差して聞いた。
僕も愛菜に言われて気づいた。
そして、はるちゃんも今気付いたようだった。

「春奈、全然気づいてくれないから
愛菜ちゃん助かったよー」

「拓翔くん…
この指輪ってこの間の?」


はるちゃんが拓翔くんの不倫を疑う
元になった指輪のことだ。

恐る恐る聞くはるちゃんの頭をぽんぽんと優しく叩いて
拓翔くんはにやりと笑った。


「春奈に不倫してるかもって思わせといての
サプライズ!!

自分が考えてない嬉しいことがあると
すっごく嬉しくて、すっごく幸せになるでしょ?
だからだよ。」


僕はそこまで考えられる
拓翔くんに感動した。


本当に素敵な人だ。
2人には幸せになって欲しい。

「そーだ、春奈に見せたいものがあるんだ」


拓翔くんは鞄からファイルを取り出した。

「ここに2人で住まない?
すごくいい物件だと思うんだ。」

おそらく、2人が見ているのは
物件情報だろう。

「どのへんに住むの?」

僕が聞くと物件情報の紙を見せてくれた。


ん?!

愛菜が隣から覗き込んだ。

「恭也さん、ここって…」

「あぁ、ここは僕達が住んでいるマンションだよな。」



「えーーー?!
愛菜たちがいるの?!

拓翔くん!!
ここにしよう!!

私、ここがいい!!」

はるちゃんは嬉しそうに拓翔くんに
頼んでいた。

もちろん、拓翔くんは
了承した。



「じゃあ、日中遊びに行けるね!」

「はるちゃん、私と同じ専業主婦?」

はるちゃんはハッとして
拓翔くんの方を向いた。

「春奈には専業主婦になって欲しいな。
今のバイトはやめて貰うことになるけど…」

はるちゃんは嬉しそうに
ありがとうと言った。



引越しはまだまだ先だけど
これからも4人で会えることに
僕はワクワクしていた。


愛菜と出会ってから
いいことばかり。

本当に天使だなぁ…




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