キミに嘘を吐く日
two color


あれから数日は図書館に行くのをやめていた。

また宇野くんがいたら、嫌な気持ちになりそうで。

だから、再び覗いたのは、あの日から4日目。

今日もやっぱり母に追い出されてしまって、仕方なくここへやってきた。

映画館でも、喫茶店でも良かったけど、あの日読めなかった本に未練もあったし。

また宇野くんに会う可能性はあった。

けれど今日は絶対声をかけられても無視することに決めていた。

宇野くんのことが嫌いだとか、そういうことじゃなくて、1人になりたいからここにきてるんだし、本を読むことに集中したかったし。

なんだか言い訳めいた言葉が頭の中でぐるぐると回っていた。

自分のことなのに、自分が本当はどうしたいのか分からないのは困るけど。

2階の窓際の席はやめておいた。

本棚と本棚の間に置かれたひとりがけのソファに座って本を読むことにした。

この前読もうと思った本を探して本棚を練り歩く。


「嘘……」


あの時の本が一冊もないのはどういうわけなんだろう?

1冊か2冊なら、誰かが借りたのかもしれないと諦めもつくけど、全てがこの数日のうちに貸し出されるなんてことあるのだろうか?

続き物でもなければ、作者だって、分野だってバラバラだったのに。



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