妖怪師匠と優雅な時間
わたしの言葉に対してその人は何かを考えているようだった

「僕は、たまにですけど
ここの街にある如月大学で
非常勤講師をさせていただいています
もし、貴女が妖怪の存在をはっきりさせたい
否、居ないと証明したいのなら
是非歴史研究科を受験なさってみては?
"師匠"と呼ばせて差し上げますよ」

そう言って笑いながら
屋敷を出て行ってしまった

大きな屋敷は夕暮れに包まれていた

ぼうっと立ち上がって電話を探した

部屋を出ると大きな黒電話
そして奥には大量の本の詰まった本棚
ラインナップは歴史、妖怪、歴史、歴史
簡素なキッチンと桐箪笥

夕暮れ、一人きりの大きな屋敷に
わたしはなぜか言いようのない高揚感に満ちあふれていた

「わたしは受験生なんて一言も言ってない」

不思議な事は、解明してみないとわからない
やってやろうじゃないか
妖怪はいないって証明してやる

"妖怪師匠"のからくりをわたしは見つけてやる
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