情熱的に愛して
「門馬……」

私は立ち上がったまま、門馬と見つめ合った。

「なんだか恥ずかしいな。俺、ビール取ってくる。」

門馬も立ち上がって、キッチンへ行こうとした時だ。


「待って……」

私は、門馬の後姿を追いかけて、背中から門馬を抱きしめた。

「市川?」

「……このままでいて。」

背中から門馬の香りがする。

なんだか、落ち着く。


すると門馬は、私の腕を自分から放した。

「ごめん。こういう事、付き合っていないのにするのは……」

「あっ、ごめんなさい。」

私は慌てて、後ろに下がった。

「ごめん。」

「こっちこそ、突然ごめんなさい。」

その場に、嫌な空気が流れ、門馬は一人キッチンに消えて行った。
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