情熱的に愛して
「ねえ、お母さん。」

「なあに?」

「聞いて驚かないでね。」

私は、お母さんの手を握り返した。

「私達、偽装結婚なの。本当は入籍していないの。」

お母さんは、”えっ!”と、小さく驚いた。

「黙ってて、ごめんなさい。」

お母さんは、何度も頷いてくれた。


「どうして、そんな事をしたの?」

「私、おじいちゃんと約束したの。すごい人と結婚して、おじいちゃんを安心させるって。」

お母さんは、目をぱちくりさせている。

「……あのおじいちゃんと?」

「そう。あのおじいちゃんと。」

今は元気だから、なんでそんな約束したのか、分からないけれど。

「そうしたら、門馬が協力してくれるって。」

「そう……」
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