雨女と机
雨女と机



月曜日の5時間目。


朝、どこか遠くのほうで聞こえていた雷鳴はどこへ行ったのだろう。


窓の外はしとしとと雨が降る。


6時間目、化学。


一方的に酸化と還元について説明する先生。


そんな説明頭にちっとも残らない。


さて、どうしよう。


来週はテストだというのに、このままじゃまずいのは重々わかっている。


肘をついて、窓の外に目を向ける。


窓側の席の一番後ろ。


最高のポジション。


今日は雨の日。


帰りのバス混雑しそうだな、何て、少し嫌になる。


だからって、別に雨は嫌いじゃないよ、雨女。


黒板にいつの間にか書かれている化学反応式をノートに写しつつ、何となく机に落書きをする。


猫が笑っている絵を描いてみる。


だけどしっくり来なくて、すぐ消して、次の猫は雨に濡れて泣いた。


数分後、授業終了と同時に放課後を告げる鐘が鳴り、帰宅の準備。


友人と一緒に帰宅。


楽しいとも楽しくないとも何も感じない日々。


ただテストに焦燥を感じつつ憂鬱になる。


帰宅。


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