甘Love!
春 〜花粉症の季節〜
朝、陽の光がカーテンの隙間から差し込み、眩しさで目が覚める。あぁ、また辛い1日が始まる、そう心の中で思えば、上半身を起こしベッドから立ち上がる。鼻にこの時期によくある違和感がある。それを感じれば俺は思った。



花粉症辛いんだけど


取り外し出来るものなら洗濯機で鼻を洗いたい程辛く、目もついでにと言いたいぐらいだ。そんな中、家のチャイムが鳴る。鼻にティッシュを詰めながら玄関へ向かう。辛そう且つ怠そうに扉を開ければ俺の最愛の人が。
「おはよ、どうしたの、朝早くに」

俺は鼻声で問いかける。ここで話すのも悪いと俺の部屋に案内すれば、
「叶夢、はい、薬。早く治してね」
彼女が袋を差し出し、受け取れば中を覗いた。薬とマスクが入っていた。俺は嬉しくて咄嗟に彼女を抱きしめた。彼女は、優しく抱きしめ返してくれた。服をぎゅ、っと握っているのに俺は萌えた。
あ、そうそう、俺叶夢(かなた)って言うんだけど彼女はまた後ほどに。

それにしても俺はとても優秀な彼女を持ったらしい。一つ一つの仕草が可愛らしく、家事も出来て、勉強も出来る。運動はまぁ…あれなんだけど。そんな変な事を考えながら俺は彼女のことをずっと抱き締めていた。すると彼女は胸に顔を幸せそうに擦り寄せてきた。何この子。本当に可愛いんだけど、どうしたらいいの
楽しそうな彼女に苦笑を見せ、すぐに微笑むと背中を撫で、ずっと抱きしめていた。永遠にこの時間が続けばいいのに。花粉症の事を忘れ彼女を愛でれば、自然と辛くなくなっていた




〜彼女サイド〜
最近彼は電話している時によくくしゃみをする。詳しく聞いてみれば、花粉症。厄介だよね、この時期。私は酷くないけど
事情を知った私は心配になり、薬を買い、サプライズを兼ねて会いに行こうと決めた。その日の夜はその事を言わないよう必死に隠すことでいっぱいだった。次の日、スマホのアラームで目が覚めれば、9時。30分程寝坊した。何で起きなかったの、と私自身を責めながら彼の家に向かう準備をする。買っておいた薬を袋に入れ、家を出る。空は雲ひとつなく、とても暖かった。彼が花粉症じゃなかったら公園でゆっくりしようと思ったのに

…ゆっくりと歩く事15分、彼の家に着けば深呼吸をひとつ挟み、チャイムを鳴らす。反応が無い。まだ寝てるのかな、と思いもう一度鳴らそうとすれば家の中から音が。起きてくれた。緊張と早く会いたいという気持ちで不思議と気分が高揚する。何でテンション上がってるんだろう。ドアが開けば辛そうな彼が。
「おはよう、叶夢」
声可笑しくないかな、等考えながら家にあげてもらう。部屋に向かえば本来の目的である薬を渡す。いきなり抱きしめられた。え、この子かわいい…。
「ありがとう、沙織。大好き…」
耳元で抱き締められた際に囁かれる。思わず彼を抱き締め服を握る。大好きな叶夢の匂い。そのまま胸元に顔を擦り寄せ堪能した。叶夢大好き
あ、そうそう、私は沙織(さおり)って言うんだけど…。え?さっき上で叶夢が同じ事言ってた?もう…考えてる事同じだなんて…//

今日初めて顔を見た時は辛そうな表情だったのに、今では何時もの私の惚れた笑顔を見せてくれている。これって薬買わなくて良かったんじゃないかな…?でも、今日も彼の顔を見る事が出来て幸せでした!
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